社長のご指名
顔を赤く染めて、でも私を見る瞳は色っぽくて真剣で……。





誘惑してるのはあなたでしょ?





「ふぅ〜……章菜。」





前髪を掻き上げながらため息をついた海堂社長は少し間を空けて私を呼ぶ。





名前を呼ばれただけなのに体が熱くなる。





内側から痺れた様な感覚になる。




「章菜……好きだよ。」





名前で呼んでなんて言わなきゃよかった。





名前で呼ばれるってこんなに恥ずかしいものだった?





「か……海堂し……。」





いつもの様に海堂社長と言おうとしたら遮られてしまった。





さっき私がしたみたいに人指し指を唇に当てられた。





「朔夜……朔夜だろ?」





耳に響く低い声で言われた後、リップ音をさせてキスされた。





「章菜、朔夜って呼べよ……なっ?」





なっ?って……口調が違うじゃない。




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