社長のご指名
取り合えず、愛想笑いを浮かべマスコミを分けて先へ進む。





紗衣には悪いけど、守る為に紗衣を抱き上げ隠す様に膝掛けで覆い見えないようにした。





騒がれ、中傷され、非難されるのは私だけでいい。





ここで紗衣が撮られでもしたら、この先何かあった時に紗衣を悲しませたくない。





真実か偽りか定かでないもので悩ませたくない。





朔夜が運転する全スモーク貼りのワゴン車に乗り込み、病院を抜けた。





「紗衣、ごめんね。もう大丈夫だよ。」





ギューと動かず、私の体にしがみついた紗衣がモゾモゾと動き膝掛けからバッと顔を出した。





「っはぁー。」


「もう大丈夫だからね。」


「ままもだーじょぶ?」


「うん。大丈夫。」





ニコーっと笑った紗衣に微笑み返す。





「紗衣ちゃーん。」


「ぱぱぁ!」





忘れられてた朔夜とバックミラー越しに目が合った。




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