白衣を脱いでも恋してる
「あっ、杏奈。」



「おせーぞ。ちんたらやってんじゃねぇよ。」



「あっ…」



やっとあたしの存在に気づいたのか、



シルバートレイを持ったまま立ち尽くすあたしを見つめるながらニコニコと笑みを浮かべる由奈と、足を組み直しながらチッと小さく舌打ちする先生。



「ちょっと聞いてよっ!!先生ってば…」



「黙れ。」



「はいはい。でも、無理やり匂わそうとしたのは事実…」



「だ~ま~れ。」



でも、2人が楽しそうにすればするほど…



2人の仲の良さを目の当たりにすればするほど…



引きつる口元とジワリと滲む涙。

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