僕等が保つべき体温の最大
結衣の家の中。圭一は結衣が昔使っていた部屋に通された。

「よく来てくれたね。待ってたんだよ」

その口調は、別に責めている訳ではなかった。むしろ圭一の事を心配してくれているような、そんな口調だった。

「圭一君の事は、天野君から聞いてたよ、苦しい思いをしてたんだね」

「洋太から?」

おばさんによると、洋太はあの事故以来、何度かこの家に来たらしい。

全てから目を逸らし続けていた自分の代わりに、自分の状況を話してくれていたらしい。

「すいません…。なんか俺…」

圭一は、おばさんの顔を見れずにいた。どこまでも情けない自分を恥ずかしく感じていたのだ。

「ところで?ここに来たってことは?」

おばさんは、圭一に答えを促したが、圭一はどう答えていいか解らない。

仕方がなく、付け足すように言った。

「結衣の事。結衣との事思い出したんだね?」

圭一は、その質問に甘えるように頷いた。


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