僕等が保つべき体温の最大
18 離れられない半球
圭一が自分の生まれ育った町へ帰っている時。菜緒は洋太と会っていた。

同時にたくさんの事が起こって、自分だけじゃ整理しきれなくなったというのもあるし、ただ一人でいるのがどうしようもなく不安になった、というのもある。

そして、洋太にしてみても、似たようなもんだった。

「しかし、あれだね…」

互いに沈黙を心地悪く感じていたところで、洋太が口を開く。

「いろいろ大変だったよね」

「え…?…はあ…」

菜緒にしてみれば、洋太こそ巻き込んだ張本人であった。にも関わらず、ひとごとのように言う洋太に、思わず呆れてしまった。

「うん、本当にいろいろ大変だった」

洋太は、そんな菜緒の気持ちには触れもせず。自分だけが納得してるみたいに繰り返しつぶやいた。

「うん、大変だったね」

結局、菜緒は洋太のそんな気持ちに触れてそう答えた。

洋太は、そう言われて少し微笑んだように見えた。


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