僕等が保つべき体温の最大
会いたい人に会えない事はとても辛い事だし、愛する人を失ってしまうのはとても悲しい事だ。

圭一はそれをしっかりと認める為に結衣に会った。

そしてそんな現実を目の当たりにしたのなら、それはとても苦しいことだろう。

「俺は…」

やがて圭一の喉から言葉が溢れ出す。

「なんか楽になったような気もするし、すごく辛いような気もするし…」

淡々と紡ぎだすその言葉は、圭一自信を満たしているように思えた。

「でも、こうやってその時思ったことに正直になろうと思ってるんだ」

「うん」

訳もわからず菜緒は頷いた。そんな事を話してくれる圭一がすごく嬉しかったのだ。

「だから、やっぱり思うんだ。俺はいつまでたったって結衣を忘れられない」

菜緒は、圭一が考えている以上に正直になって少し困った。

「それは…。多分そうだろうけど…」

「え?何?」

菜緒は思う。言いたい事言うんだったら自分も負けない。

< 120 / 128 >

この作品をシェア

pagetop