僕等が保つべき体温の最大

「ああ、考えておくよ」

言って、ムリヤリ電話を切った。

「遊ぶくらい…」

”いいのかな？”

圭一はただひたすら上がり続ける夏の気温の中でそんな事を考えていた。

きっと良くない事なんだろう。よくわかっている。

だけども乗って見るのも悪くないとも思っていた。

おそらく、洋太の影響だろう。

洋太は何故だか圭一に結衣以外の女の子と遊ぶ事を薦めた。

「怖いのか？」などと挑発するような事も…。

何時からか？

圭一は分かっている。あの事故以来、結衣と暮らすようになってからだ。

「お前、苦しそうだよ…」

洋太に言われた事がある。

好きな人と一緒にいるのに、苦しい事なんてあるはずない。

しかし洋太にそう言われたとき、圭一は何も言い返す事をしなかった。

”うしろめたい”という感情がある事…。

それもまた事実なのだ。