僕等が保つべき体温の最大
「ゴメンナサイ」

菜緒がやっとの事で、絞り出した言葉だった。

「何で?」

「なんか、余計な事したみたいで…」

別に余計なことなんて…。と圭一は笑いながら応えた。

「でも、何で?」手伝ってあげなかったの?

菜緒は、気になっていた疑問を、ようやく口にした。

「うん、あんまり手助けするのもどうかな?って思って」

普段から、階段の昇り降りはしてるだろうし。というのが圭一の言い分だった。

「でも、さっきは…」

見てたの?と応えながら、圭一は続けた。

「あそこでね…」

圭一が、そういいながら指さした先には、制服を着た男の子が固まって、話しをしていた。

「あれが?」

「うん、行き道をふさいじゃってんだ」

そういわれてよく見ると、彼等が話している足元は、点字ブロックがしいてあるエリアだった。

菜緒は何も言えず、高校生と圭一を交互に見た。

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