僕等が保つべき体温の最大
菜緒は、いい加減認めてしまう事にした。

何をどう考えるにしても、前提が必要だ。

”私は波多野圭一が好きだ”

選手宣誓にもちかいその短いフレーズは、菜緒の心にストンと落ちた。


”波多野君が好き”

そう認めて思ってしまうことは、考えていたより気持ちがよく、さっきまで悩んでいた事が嘘みたいにすがすがしくもある。

結局のところ、自分に嘘はつけないし、そのように認めてしまう事を、自分自身ずっと望んでいてもいたのだろう。

正直、それだけで日常が光り輝いて見えたから不思議だ。

実際のところ、菜緒は圭一の事を何もと言って良いくらい知らない。

それなのになんで気になるんだろう?と今までは考えていた。

でも、今は違う。

好きだから、知りたい。

そう思えるようになった。

”波多野君の事がもっと知りたい”

ただ、そう考えると胸が締め付けられる思いがした。

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