僕等が保つべき体温の最大
「でも、彼女さんが…」

菜緒は、だんだん自分でも訳が分からなくなってきて、泣きそうになった。

「応援させてよ、圭一の友達として」

感激なのか、自己嫌悪なのか解らない。結局菜緒の目からは涙がこぼれた。

洋太は、それをなんともいえない優しい顔で見ている。

「圭一の話しをしてあげるよ」時間ある?と聞いてきた洋太に対し、菜緒は泣きながら頷き彼の横に腰掛けた。

「圭一はさあ、結構孤独だったんだ…」洋太は、静かに語りはじめた。

圭一は、昔から顔がいい事で周囲からモテたり嫉まれたりしていたらしい。友達と呼べるのは、洋太くらいだったそうだ。

「嫉むって…。男の子でもあるの?そういうの?」涙声にならないように頑張って菜緒は聞いた。

「嫉むっていうか、からかわれるっていうか…」”ヒューヒュー”みたいなハヤシ言葉に、どうやら圭一はムキになるタイプだという。

「それで、だんだん周りから人がいなくなって…」高校の時は洋太以外とは口もきかなくなったらしい。

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