僕等が保つべき体温の最大
「また、そんなんで影しょっちゃった感じがいいんだろうね、紹介しろだのなんだのよく言われたよ」

さほど昔の話しでもないだろうに、洋太は遠い目をして言った。

「それで、付き合ったのが今の彼女さん?」多少の覚悟をして、菜緒は聞いた。

洋太は、笑いながら首を振りそれに答える。

「圭一は、そういう女を避けてたよ。何言われるかわからないし」

ギクリとする菜緒を横目に、洋太は続けた。

「高校の時、やっぱりそんなような事で、クラスのやつとケンカになったんだ」

洋太の話しによると。

クラスの男子が圭一をからかうと、それがエスカレートして、殴り合いのケンカになったそうだ。

結果として、圭一が相手を殴り飛ばし、ガラス窓が割れた。そのせいで圭一と相手は教員室に呼ばれた。

「普通、こういうのって両成敗なんだろうけど、罰を受けたのは圭一だけだったんだ」

「罰って?」

「美術部の絵のモデル」

菜緒はスケッチブックを握り直した。

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