僕等が保つべき体温の最大
ほんの数秒そうした後、紗梨奈は圭一の肩に手を添えながら自分から離れた。

そのままの距離で圭一の目をのぞきこみ、様子を伺っている。

「どうします?このあと?」

紗梨奈は最後の台詞を促した。が、圭一は何も考えず、ただボンヤリ紗梨奈の次の言葉を待っていた。

言ってみれば、圭一は紗梨奈の事を”頼り”にしていたのかもしれない。

洋太の言う事だったり、絵を諦めてしまった結衣だったり。そういう事の意味を紗梨奈に求めていたのかもしれない。

「ねえ?どうします?」

何も言わない圭一に、多少苛立ちながら紗梨奈は言った。

「どうすればいい?」

紗梨奈の望みどおりに。それが圭一の正直な願いだ。

「え?」

考えてた言葉と違うからか、紗梨奈の表情が曇った。

「何それ?なんかヤダ…」

呟くように言うと、紗梨奈は下を向き髪をかきあげ、真っ直ぐに圭一を見返した。

そこには、さっきとは別人のような表情をした紗梨奈がいた。

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