僕等が保つべき体温の最大
そもそもは、結衣が行きたいと言い出したのだそうだ。
高い山に行くと樹氷が建っている風景があるのだという。写真だけでは分からない、その真っ白な景色が見たいと言ったらしい。
「圭一も運動神経は良い方だけど、始めてでそんな高いところからすんなり降りて来れなくて…」
洋太は、遭難事故の事をゆっくりと話した。
「結局、ふたりが発見されたのは次の日の朝だったんだ」
もの凄く苦しそうに話す洋太を、菜緒は黙って見つめていた。
その表情を見ていると、その時の大変さが感じとれる。
きっと、本人達だけじゃなく周囲の人間の苦しみも相当なものだったのだろう。。
菜緒は飲み込もうとした言葉を、口にだすかどうか悩んでいた。
恐らくは、その事故のせいで失われたであろう右手の事を。
”あの手は、本当なら無くならないはずだったんじゃないか?”
菜緒は、そんな事を思っていた。
高い山に行くと樹氷が建っている風景があるのだという。写真だけでは分からない、その真っ白な景色が見たいと言ったらしい。
「圭一も運動神経は良い方だけど、始めてでそんな高いところからすんなり降りて来れなくて…」
洋太は、遭難事故の事をゆっくりと話した。
「結局、ふたりが発見されたのは次の日の朝だったんだ」
もの凄く苦しそうに話す洋太を、菜緒は黙って見つめていた。
その表情を見ていると、その時の大変さが感じとれる。
きっと、本人達だけじゃなく周囲の人間の苦しみも相当なものだったのだろう。。
菜緒は飲み込もうとした言葉を、口にだすかどうか悩んでいた。
恐らくは、その事故のせいで失われたであろう右手の事を。
”あの手は、本当なら無くならないはずだったんじゃないか?”
菜緒は、そんな事を思っていた。