僕等が保つべき体温の最大
「確かにそうだよ…」
洋太は、圭一が右手を失った理由を話した。
「でも何で?」
洋太の返事を予想はしてたものの、菜緒は雪山の遭難と右手の切断を結びつけられないでいた。
「何で右手だけ?」
「結衣ちゃんのためだよ」洋太は詳しく話した。
二人の目的はそもそもスノボではなかった。結衣にとっては目的は絵だった。
「あまりにも薄い手袋だったんだよ」
たしかに、スノボとかで使うゴワゴワのグローブでは絵筆はとれない。
もちろん、そこで描くつもりもなかったのだが、絵を描く人というのは描きたくなった時の備えをしてしまうものらしい。
「圭一は、自分のグローブを結衣ちゃんにさせたんだ」
最初、両の手を渡したのだが、右手の分だけを受け取ったのだそうだ。
「壊死っていうの?一晩中素手でいたもんだから駄目になっちゃって。切り落とさなきゃ具合が悪いみたいで…」
圭一は結衣を守ったのだ。自分の手を犠牲にして。
その姿は、菜緒が感じていた圭一の姿そのものだった。しかし、その絆の強さは菜緒にとって絶望以外のなにものでもなかった。
洋太は、圭一が右手を失った理由を話した。
「でも何で?」
洋太の返事を予想はしてたものの、菜緒は雪山の遭難と右手の切断を結びつけられないでいた。
「何で右手だけ?」
「結衣ちゃんのためだよ」洋太は詳しく話した。
二人の目的はそもそもスノボではなかった。結衣にとっては目的は絵だった。
「あまりにも薄い手袋だったんだよ」
たしかに、スノボとかで使うゴワゴワのグローブでは絵筆はとれない。
もちろん、そこで描くつもりもなかったのだが、絵を描く人というのは描きたくなった時の備えをしてしまうものらしい。
「圭一は、自分のグローブを結衣ちゃんにさせたんだ」
最初、両の手を渡したのだが、右手の分だけを受け取ったのだそうだ。
「壊死っていうの?一晩中素手でいたもんだから駄目になっちゃって。切り落とさなきゃ具合が悪いみたいで…」
圭一は結衣を守ったのだ。自分の手を犠牲にして。
その姿は、菜緒が感じていた圭一の姿そのものだった。しかし、その絆の強さは菜緒にとって絶望以外のなにものでもなかった。