僕等が保つべき体温の最大
”見えない未来を、過ぎた過去と重ねていただけなんだ”

それに気付いていなかったのだ、と圭一は思う。

そして、それに気付くことが出来たとも。

自分の理想を過去に見て、そこを目指すべきだと必死にもがいてきた。

でも時は不可逆だ。

それは、過去の残像でしかなくて、そこにたどり着くことなど出来はしない。

自分が求めていたのは何か?

”結衣とつくる未来だ”

その事に、気付いているつもりが、気付いていなかった。

きっと認めたくなかったのだろう。事故で失ったモノを。

失い続けた日々を。

結衣の声も絵も。

それらのピースをはめない限り全てが未完成だと考えていたから、苦しんでいたのだろう。

未完成のままだと先に進めないと考えていたからもがいてもいたのだろう。

でも圭一は気付いた。

”俺達は未完成だ”

だからこそ、目指すべき未来があると。

< 64 / 128 >

この作品をシェア

pagetop