僕等が保つべき体温の最大
”波多野君が結衣さんと結婚する”

お互い気持ちが通じ合っているのなら、それは素晴らしい事なのだろう。

様々な苦難を乗り越えて二人が出した答えなら、それはどうしようもないくらい正解なのだろう。

結局答えなんて、悩んでいるうちに勝手に出てしまって、納得するしか無いものなのだ。

「良かったんだよね?」

洋太は何ひとつ説明しないで、派手に舌打ちをして「良くない」とだけ呟いた。

「だって二人で選んだ道でしょ?確かに学校とかあるだろうけど…」

それに自分が出る幕では無い事は、誰の目からも明らかだ。

なのに洋太は「良くない!あいつは何も見てないんだ」と言うと、今度は強引に菜緒の腕を引っ張った。

菜緒は洋太に引きずられながら、自分の気持ちがオセロみたいにパタパタと裏返っていくのを感じた。

「放して…」

菜緒が静かに呟くと洋太は掴んだ手を緩めた。

菜緒はサッと手を振りほどく。そして大きく深呼吸をすると言った。

「よし!行こう!」

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