僕等が保つべき体温の最大
「結衣は…。結衣はどこに行ったんだ?」

さっきまで、いたはずの人間が目の前からいなくなった。圭一はそう思っているようだ。

「最初から何処にもいない。結衣ちゃんはここにはいない」

洋太は淡々と圭一に言葉を投げつける。ひとつひとつがこびりつくように重く投げつける。

「圭一、いい加減気付いてくれ。結衣ちゃんはもういないんだ」

その言葉は理解しようとしないからか、全く意味がわからない。

”結衣さんがいない?どういう事?”

「結衣ちゃんはもういないんだ。お前は結衣ちゃんとは、一緒にいないんだ。」

洋太は、だんだんと振り子の振り幅を広げるように核心へ触れて行った。

「お前は、あの事故で沢山の物を失ったんだ」

圭一は、聞いているのかいないのか、呆然とそこに立っている。

「いいか、しっかりきけよ。結衣ちゃんは何処にもいない。あの事故で死んでしまったんだよ」

洋太の口から答えが転がりだした。

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