僕等が保つべき体温の最大
「結衣ちゃんはあの事故で死んだんだ」

洋太の発したその言葉は、落ち着く場所を失ってバタバタとのたうちまわっている。

「結衣は…。結衣は…。」

洋太の言葉を捕らえ切れない圭一は瞳をキョロキョロと動かしながら自分の答えを探していた。

”どうしよう…”

菜緒が心の中で描いた言葉はそんなものだった。

だって、どうしようもないじゃないか?

愛してる相手に真っ直ぐ突き進む圭一は、本当の目標を失っている。

仕方がなく自分の心の中にその人を思い描いて気持ちを満たそうとしている。

いったいどうすればいいのか?

わかるはずがない。ただどうしようもないくらい満たされない思いだけが溢れていくだけだ。

「認めるまで何度もいうぞ?結衣ちゃんは死んだ。あの事故で。お前の腕の中で」

洋太は容赦なく圭一に絶望を投げ付ける。

「やめようよ。もうやめよ?」

情けない位か細い声が菜緒の口をついた。

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