ひとりがさみしいなら
1週間後。

あたしは撮影場に向かった。
・・・けど・・・おかしい。
裕貴くんが、いつまでたっても来なかった。
裕貴くんはサブヒロインだから・・・
出番がない撮影日なんてあるはずない。
なのになんで来ないんだろ・・・。

あたしは心配になってスタッフさんに聞いた。

「あぁ、ゆいちゃんなら風邪ひいたって」

風邪・・・。
あたしは裕貴くんの家を教えてもらい、向かった。


「はぁぁ!!?なんで萌香がここに・・・」


「心配してきたの!!」


まぁ当然・・・裕貴くんは驚いてた。
「萌香ちゃんほんっと可愛いわねぇ~♥
女優さんが家に来るなんて最高よ~」
裕貴くんのお母さん。
なんか・・・あたしのファンらしい。
「もしかしてお邪魔だったかしら?
ごゆっくり~♥」

あたしと裕貴くん、2人っきりにされてしまった。

「38度6分・・・。
結構熱あるね・・・大丈夫?」
「あぁ・・・」
裕貴くんはすごく熱があった。


「・・・裕貴くん、顔赤いよ!?
もしかして熱上がってきた!?」


あたしの問いかけに、裕貴くんは呆れた顔をした。




「どんだけ鈍いんだよお前・・・。
お前が可愛すぎるから、緊張してんだよ」




“お前が可愛すぎる”・・・。

恥ずかしい。

こんな事・・・平気で言う裕貴くん、おかしいよ。

「あっ・・・あたし帰る!
お大事にね!!」

何逃げてんのあたし。

恥ずかしいって感情もつなんて・・・。

やっぱりあたし、裕貴くんが好き・・・?


『萌香』


・・・!!

司の声と顔も同時に頭に浮かぶ。

もうわかんない・・・

わかんないよ・・・・・。
< 18 / 100 >

この作品をシェア

pagetop