ひとりがさみしいなら
「・・・裕貴くん・・・
話、あるんだけど」

萌香が申し訳なさそうな顔してオレのところに来た。



「・・・あの、あたし・・・
やっぱ、司が好きみたいなの・・・。
自分でも、気持ちよくわかんないけど・・・。
だけど、司に対する気持ちは“愛情”だと思うんだ!
もちろん、裕貴くんも大好きだよ・・・
でもそれは、“友情”なんだ・・・。
ほんっと!!ごめん!!!!」



・・・今さらなんだよ。
嫌味かよ。

そうやっていちいちさ・・・
むかつくんだよ。
嫌味ばっか言うくせに!!!
・・・なのに・・・


「なんでこんなに好きなんだよ・・・」


「え?・・・」

オレはかすかに声が漏れてしまった。
けど、そんな事は気にしねぇ。


「オレ、まじでさ。
“お前が幸せならそれでいい”んだ。
だから―――もう、申し訳ないとか思うなよ。
これからも、お前とオレはずっと、“友達”なんだからさ」


・・・嘘言ってんじゃねぇよ。
“友達”なんてせますぎる。
せめて“親友”になりてぇ。
だけど―――それはあいつが許さない。
あいつに悪りぃ。



「裕貴くん・・・
こんなあたしを、今まで愛してくれてありがとう」



・・・え・・・

「あたしも―――――それに応えられるように。
・・・撮影、最高の演技するからね!」


・・・“萌香の笑ってる顔が1番可愛い”なんて、オレ嘘言ってた。

萌香の1番可愛い顔。

それは―――――――――・・・


“涙目で、一生懸命オレに笑いかける萌香”だった―――――・・・
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