ひとりがさみしいなら
「で、でもなんで、女の子の格好してるの??」
あたしは純粋な疑問をぶつけた。

「・・・オレ、ズラとか取って男のカッコしたらさ、平凡な男子な訳。
なのになんか突然、事務所の社長に声かけられてさ、デビューしたって訳」

平凡・・・?
でもあたしも平凡だしなぁ。

「萌香ちゃんゆいちゃん、そろそろスタンバって!」

「あ、はーい!
行こ、ゆいちゃん」


「・・・オレは“ゆい”じゃねぇ」


・・・え・・・・・?

「え??えぇえ???
羽月ゆいちゃんじゃないの?????」




「オレの本名は葉月裕貴(はづき・ゆうき)。
“ゆい”っつーのは芸名で、社長が考えたの」




・・・あ・・・・・
「そっか・・・」
男の子・・・だもんね。

「・・・萌香」
「ん?」

「オレが男って事・・・・・
絶対秘密な」


“絶対秘密”―――――――。


「うん!もちろんだよ!!」


ゆいちゃ・・・じゃなくて裕貴くんと仲良くなれてよかった。
いい友達になりそう・・・。
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