続・特等席はアナタの隣。
「家政学部棟って遠いな」

和泉君の開口一番の言葉に思わず声を上げてしまった。


「なんでここにいるの!?和泉君の講義は!?」

「休講になったから、モカのところ行こうと思って」

「だからって…」

わざわざ忍び込まなくても…。


講義を受ける学生は大勢いるため、他学部の学生が混ざったところでバレはしない。興味がある講義なら、勝手に教室に入って聴いている学生もよくいるくらいだから。

いやでもだからって…。

困り顔でチラリと和泉君を見ると、優しい表情のまま「何?」とニコリと微笑まれた。


うっ…。

カーッと顔が熱くなるのが分かる。

やっぱり間近で見るのはいまだに慣れない…。

何も言えないまま俯いてしまった。
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