続・特等席はアナタの隣。
そんな私の慌てっぷりに気付いていないのか、そのフリをしているのか、「んー?」と何事もないように私の教科書をペラペラとめくって見ているだけ。

「こ、こんな所で!!離してよ!!」

周りに聞こえないように小声で抗議するけど、「嫌だ」とただ一言返ってきただけで、離そうとはしない。


そ、そんな!!

和泉君の「嫌だ」は絶対に譲らないと分かっている。相当頑固だということは仲良くなり始めた頃からすぐに実感していた。


みんなの視線が痛いけど…しょうがない…。

無になろう。無に。


ムリヤリ気にしないように頑張った。


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