続・特等席はアナタの隣。
「お兄さんがいるとか、初耳なんだけど?」

和泉君がだんだんと鋭い表情になっている。

こ、こわい…。

その表情にビクつきながらも必死で答えた。

「私もいるのは知ってたんだけど、会うのは昨日が初めてだったの!!地方の大学行ってて、夏休みで帰省してきたって!!」

「…で?」

「別に隠してたわけじゃなくて、私もお兄さんの存在忘れてたの!!」


私の必死の言い訳を和泉君は疑いの眼差しで聞いている。

「ホントだよ!!昨日も送ってもらっただけ!!」

許してくれるだろうかと和泉君の顔を覗き込んだ。またいつかのように信じてもらえないなんて絶対やだ。


不安に駆られながら、和泉君の言葉を待った。

「分かった…。まぁ、モカが二股とかするわけないって分かってるし」

「二股ぁ!?そんなことあり得ないよ!!」

「あぁ、そうだな」

そう言って和泉君は私の身体を引き寄せ、今度は優しく抱き締めた。

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