続・特等席はアナタの隣。
「何やってんの?和泉と会う約束?」

「あ、いえ…。勝手に来ちゃって…」

「そうなの?じゃあ入る?」


そう言って私の手を引きながらためらいなく中へ入ろうとするお兄さんに、「いいです!!」と足をふんばった。


「え?いいの?」

「ご、ごめんなさい…!!約束もしてないし、やっぱり…帰ります!!」

さっきの決心はどこへやら、急に勇気がなくなって引き返そうとする私を、お兄さんは「ちょっと待って」と呼び止めた。


「な、何でしょうか…?」

「和泉にもう用はないならさ、俺とちょっと話ししない?」

「え…?話し、ですか?」

「まぁまぁ、とにかく入りなよ」

「えっ!?ちょっと…!!」

そして、和泉君のお兄さんに手を掴まれたまま、家の中へと連れて入られた。
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