続・特等席はアナタの隣。
「帰ってきた途端どっか行けって…。冷たい弟だな」

ソファーにどかっと座りながら兄貴が呟いた。


「和泉、何か飲み物持ってきて」

「自分で取りにいけよ!」

またいつものように俺を使おうとする兄貴に言い返した瞬間、ハッと気付いた。


まずい。今キッチンに行かれると、食材やら何やらスーパーで買ってきたものが転がっているはずだ。

……見つかってしまう。



「あーあ…。冷たい弟…」

独り言を言いながら、よいしょ、と立ち上がった兄貴を慌てて制した。



「待て!俺がとってくる!」

「…は?」

「いいから座ってろ!」

「お、おぉ…」


鬼気迫る俺の表情に圧倒されている兄貴の肩を押さえつけ、もう一度ソファーに座らせた。

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