続・特等席はアナタの隣。
冷蔵庫から適当に選んだ缶コーヒーを渡した。

「さーんきゅ」

それを飲みながら、兄貴は新聞を読み始めている。


「なぁ、和泉」

「ああ?」

「そんなに張り付かれると、鬱陶しいんだけど」

何か動き出さないかと見張っているせいで、逆に怪しまれている。

言葉を詰まらせていると、兄貴は怪しげな視線を向けてきた。


「何を隠してる」

「……何も」

やっぱり、完全に怪しまれている。


「うそつけ。……なんか、女の匂いがする」

兄貴は新聞を机に置き、キョロキョロと部屋を見回していた。


何なんだこいつは…。犬か。

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