裏切り恋愛
「お前……」

圭斗が口を開いた。

「圭斗?」

舞が不思議そうに圭斗を見た。
圭斗はハッと我に返り、

「いや、なんでもない」

と言って実由から目を逸らした。

「ね、実由、今日はもう帰る?」
「……でも、」
「大丈夫!みんなで帰ろう?」
「だな。無理すんなよ」

舞とコウが優しく実由に微笑みかける。

「そう、だね……ありがと」

実由はゆっくり立ち上がった。

思い出したくも無い、けれど、紛れも無い真実から、過去から、目を逸らしたくて仕方がない。
忘れたくて、でも忘れちゃいけないこと。
それが、あの日起きたことで――。


四人は実由の家に向かい、実由を送ったあと、それぞれの家へ帰って行った。

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