裏切り恋愛
「よろしく♪」

実由の隣に机を置いた慎吾が、実由にニッコリ微笑んだ。

うっ……なんて、なんて爽やか笑顔……。

「よ、よろしくね」

実由はその笑顔に引きつりながら笑って返事をした。

「俺さ、教科書とか無いから、見せてもらってもいい?」
「え?あ、そっかぁ……いいよ……」

ちょっと緊張するな……なんて考えていた矢先に慎吾が実由に話しかけた。
仕方ない、というように実由は教科書を取り出す。

「先生、一時間目から終わりまで、井山さんに教科書見せてもらうので、席くっつけていいですか?」
「えっ!?」

慎吾がニッコリと島田先生に聞いた。
その爽やか笑顔は、誰でも許してしまうくらい純粋な笑顔らしく、先生もやんわりと

「いいぞー」

と答えた。

待ってよ!何が「いいぞー」なの!?
席が隣になるのはあたしなんだよ!?あたしに聞いてよ!!

実由はうんざりというような顔つきで慎吾としぶしぶ席をくっつけた。

「近いね♪」

なんて笑う意地悪そうな顔。

「別に!」
< 15 / 49 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop