裏切り恋愛
そう言ってツン、と向こうを向く実由。

クスクス笑う慎吾は、実由のことを気に入ったらしい。
舞は実由を見ながらいいなー、なんて顔をしている。



実由は一時間目から六時間目まで、気が気じゃなかった。
今日の授業は、どの教科も成り立たなかった。
女子はみんな慎吾のほうを見つめ続け、男子までもがその美形さに羨んでいて。

誰にも憎まれないその性格で、どれだけの女の子を落としたのかな……。

実由はそんなことを考えながらため息をついた。

「どしたの?」

隣の席で慎吾が実由のため息に気がついた。

「あんたのせい」

実由はボソッとそう言った。

「俺の?そりゃ、ごめん」

慎吾ははははっと笑う。

うっ……駄目駄目!あたしが好きなのは圭斗だけだもん!圭斗だって、女の子にすっごいモテるんだから!

なんて考えてしまう。

カッコイイ容姿が隣にいるなんて、緊張する……。

実由はまたため息をついた。

「なぁ、井山さんてあいつ好き?」

慎吾が圭斗を指差した。
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