ロンド
「大体白百合は二時前後に動き始めてたんだ。どうやら活動しやすい時間帯らしい、深宵も。だから暴走は毎回この時刻だから俺は毎回眠くてしょうがない」
「……そ、そっか……」
霊が動きやすいのって、夜中、だもんね。
そりゃそうだよね……霊……だったんだよね……。
「……あ、あの、ほ、本当に今更で、あの、とてもとても申し上げにくいのですけれども……」
「どうしたの?亀井さん」
「ダメダメ、そこは"結衣"って言わなきゃ……」
「黙れ片割れ」
……面白いくらい扱いは違うんだけど……。
「ごごめんね蓮くん、ちょっと……耳、貸してくれる?」
「耳?」
だってだって、こんなこと言ったら蘭くん絶対笑うし、バカにするから……。
「なんだ?俺だけ仲間はずれ?」
そんな蘭くんの言葉は無視して、そっと耳をあたしの口元に寄せてくれた蓮くんに、あたしはそっと言った。
「実は……ちょ、ちょっとなんだけどね……怖くなってきちゃった、の……だ、けれど……」