ロンド


「白百合……」

「私はもう、過去を悔むことをやめます。それがみなさんにとって……深宵にとっても私にとっても、必要なことだと気付いたからです。……気付かせていただいたからです……結衣さん」


大丈夫。

白百合さん、ちゃんと伝わってる。


「はい」

「声をかけて……名前を呼んでくれて、ありがとう。長い暗闇から救ってくれて、ありがとう。本当に、感謝しています」


蓮くんの目から、涙がこぼれた。

それはきっと……ううん、絶対に、白百合さんの涙。


美しい、喜びの涙。


蘭くん……深宵が、白百合さんをギュッと抱きしめる。

白百合さんは、深宵の腕の中で泣きながら笑う。


二人は、とても幸せそうに見えた。

本物の姉弟愛を間近に感じた……。
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