ロンド
見事に由季渡をスルーして、あたしたちは帰って行った。
辺りは何時もよりも明るかったけど、それでも空が赤くなり始めていた。
「亀井さんの家、どこ?」
「え?……なんで?」
そう言えば、前に一緒に先生から逃げた時、家の近くまで逃げていたことを思い出した。
藍が病院に運ばれた日の夜……。
「えっと……、前逃げた辺り」
「……お前らなんかマズイことでもやらかしたのか?」
「由季渡には負けるよ」
「なんだと!?」
「あぁ、分かった。じゃ、あの辺を目指そう」
「南波テメェまた無視か!?」
そのまま蓮くんは行ってしまったので、あたしもそれに続いた。
「チクショー、覚えてろよ南波」
なんだかんだ言いつつ付いてくる由季渡。