ロンド


見事に由季渡をスルーして、あたしたちは帰って行った。

辺りは何時もよりも明るかったけど、それでも空が赤くなり始めていた。


「亀井さんの家、どこ?」

「え?……なんで?」


そう言えば、前に一緒に先生から逃げた時、家の近くまで逃げていたことを思い出した。

藍が病院に運ばれた日の夜……。


「えっと……、前逃げた辺り」

「……お前らなんかマズイことでもやらかしたのか?」

「由季渡には負けるよ」

「なんだと!?」

「あぁ、分かった。じゃ、あの辺を目指そう」

「南波テメェまた無視か!?」


そのまま蓮くんは行ってしまったので、あたしもそれに続いた。


「チクショー、覚えてろよ南波」


なんだかんだ言いつつ付いてくる由季渡。
< 42 / 150 >

この作品をシェア

pagetop