ロンド


「あたしも詳しくは知らないんだけど、『呪い』は移らない。『呪い』をかけられた人が藍たちの意識をなくしてるみたいで……それしか、今はわからない」


雅ちゃんは目を見開いた。


「呪われてない、の?」


驚くのは当たり前。

あたしも『呪い』じゃないって知って、驚いたから。


「ごめんなさい、あたし……」

「……え?」

「呪われるかもしれないからって、由衣ちゃんに近づかない方がいいって言われてて……」


普通、そう思っちゃうと思う。

だって、呪いが移るかもしれないって可能性だけで、避けるかもしれない。

あたしだって、この立場じゃなかったら知らなかったし、その人の傷も知らずに避けていたかもしれないから。


「気にしてませんから」


そう言って笑った。
< 64 / 150 >

この作品をシェア

pagetop