ロンド


『深宵、と……?深宵はもう……』

『ずっと泣いてるから気付かないんです。ずっとずっと一緒だったのに。ずっとずっと白百合さんの後ろを付いてきてくれて、守っていたのに』

『……深宵が……?』


今の白百合さんには信じられないようなことなんだろう。

三百年という時を過ごしたことさえ信じられないのに、深宵が更生したことなんて。

しかも白百合さん自身が更生させたなんて……。


『白百合さんは、今の自分が一体何をしているのか、分かっていますか?』

『今の私……?』

『はい……白百合さんが悲しんでいることで、さらに大きな罪を犯し続けています』

『……私、が……?』

『深宵を殺すよりも、自分を殺すよりも、もっともっと多くの人の大切な人たちを悲しませてきました。その悲しみと悔いの魂が、それを作り出しています』


白百合さんは、きっと分かってくれる。

心はとっても奇麗な人。

奇麗過ぎて、汚れを知らないからこそ、そうなってしまった。


『もう、泣きやんで。周りを見回して。ちゃんと受け止めて、ちゃんと……』


――深宵を見てあげて――
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