群青ノ春
紗英子の愚痴や相談を聞いてるうちに三時間位は居たのだろう。



紗英子が突然「深夜ドラマ録画するの忘れてた!」と言いだし、
今夜はお開きとなった。





奈緒は会計を済ませ、陽登に『また顔出すよ』と言いにカウンターに近づいた時、

陽登がカウンターから出てきた。





「まぁまたゆっくり酒でも飲もーぜ。


俺、まだ連絡先変わってないから連絡してよ」



大きなスピーカーの前だったので、陽登は屈んで奈緒の耳に大きな手を当て、
耳打ちしながらアドレスの書いたメモを渡した。






ひょっとしたら心臓が跳ねた事も、耳が熱くなっていたのもバレたかもしれない。





「はいはーい。じゃぁねー!」
ぶっきらぼうに言うと、目も合わさずに奈緒は店を出た。
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