加納欄の誘拐 シリーズ21
「冷タイネェ。警察ッテェ。一般市民ニハ、早ク用意サセルクセニ、自分達ハ非協力的ナンダネェ。ヤッパリ、ソウイウトコナンダァ」


やっぱり?


「金は、今、用意してる所だ。用意に時間がかかる」


嘘ばっかり(-.-)


お金、まだ用意してないじゃん(>_<)


「他ノ刑事サン達ニハモチロンナイショデ行動シテヨネ。30分シタラマタ連絡入レルヨ。ソノ時ニ受ケ渡シ場所教エルヨ」

やっぱり、電話は、一方的に切れた。

あたしは、オペレーターを見たけど、やっぱり首を左右に振られた。

今回も逆探はダメだった。

犯人に「するな」と言われ、素直に逆探知をやめる警察官がいるわけはない。

さらに、あたし達に、そんなこと言おうものなら、どんな手段使ってでも調べてみせる。

「欄、1億。用意できるか?」

あたしは、眉をピクッと一瞬動かすと。

「お任せあれ。園田さん、ケースの用意お願いします」

と、言って部屋から出ていった。

来た場所は、使ってない会議室。

主にあたし達しか利用しないから他の科の刑事が入ってくることは、まずない。

[使用中]にもしておいたしね。

「加納さん、ケースがなくて、これしかなかったんですけど、いいですかねぇ」

と、言って、園田さんは、大きめのボストンバッグを、もってきた。


ケースにいろいろ仕込みたかったけど……。


ないなら、仕方ないよね。


「ありがとうございます。後は、やりますから」

あたしは、バックを受け取った。

「手伝いますよ。銀行に行くんですか?」


………………(-.-;)


「……いいえ」

「署長に、出してもらうんですか?」

「いいえ」

「それじゃあ、1億もの大金すぐには」

あたしは、園田さんが、首を傾げている間に、真っ白なコピー用紙の束を、机にドカドカと積み上げ、1万円と同じ大きさに、裁断し、茶色の帯を裁断したコピー用紙の真ん中でくくった。

「加納さん。それは」

園田さんが、信じられないという顔付きで、あたしを見た。

あたしは、園田さんに構ってられなく、黙々と作業をしながら、園田さんに答えた。


< 5 / 29 >

この作品をシェア

pagetop