ラブ☆ファイト
プロローグ
入学式 恭也side
綺麗に色付いた満開の桜が鼻孔をくすぐる香りを漂わせる4月。
今日は私立青宝学園の入学式。
「~であるからして、君たち新入生は、え~、厳しい入学試験を突破し、え~、大変優秀な生徒であると……」
俺は思わず出そうになった欠伸を口の中で噛み殺した。
ったく、つまんねぇな。
どんだけ校長の話長いんだよ。
誰もお前の話なんか聞いてねぇっつーの。
首を巡らせて辺りを見渡すと、何人かは明らかに船を漕いでいる。
前の男は寝ている。
左隣の女はそのまた隣の女と話し込んでいる。
右隣の女はさっきからちらちらと俺の顔を見てきてウザい。
まあ俺様が完璧過ぎるから仕方ないんだけどな。
そんな中、一人ピシッと背筋を伸ばして座り、熱心な様子で校長の話を聞いている女生徒の姿が目に映った。
手入れの行き届いた、櫛通りのよさそうな長い髪をしている。
何だ、あの女……。
物好きな奴。
この時はそのくらいにしか思わなかった。
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