ラブ☆ファイト
出来ないわけじゃない。

断じてこの俺に出来ないわけではないが、クラス全体を誑し込んでやろうとは思わない。

それも一度に……。


人を擒(とりこ)にすることなど容易いが、付き纏われるのは御免だ。

ああいったものは存外に疲れるものなのだ。



今まで遊んでやった女は、俺に忠実である事と付き纏わない事を条件に相手をしてやったが、捨てた後は必ずと言っていい程揉め事を起こしていた。

俺の新しい玩具を醜い羨望の目で見つめたりして……。


まあ、己の身に直接火の粉が降りかかるようなヘマ、俺様がやるわけねーけど。


それでも面倒なことには変わりない。


男の争いだって醜いものは醜い。

巻き込まれたりしたら厄介なことこの上ないのに、あの女ときたら……。



『……ッ』


クスクスクス……。


思わず漏れてしまいそうになった笑いを慌てて腹の中に押し込める。


こんな女は初めてだ。

あの鋭い目つき。

異常なまでに図太い根性。


あれはある意味、賞賛に値する。


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