ラブ☆ファイト
昇格 春菜side
放課後、クラス代表の集まりの席で私は、隣に座る男――西遠寺恭也を観察していた。
一度は見切ったと思ったものの、あの不敵な笑みを見ては考えを改めざるを得なかったのだ。
きな臭い、というか気持ち悪いのよ、あの男!!
人当りの良さそうな笑みを浮かべていたと思ったら急に顔をしかめて、かと思ったら今度は意地の悪い顔をしていたり……。
そんなことを考えているうちにも西遠寺の表情は快と不快の狭間を行き来している。
ほら、また!!
まったく何なのよ、もうっ!!
「各学年の代表についてだが……」
隣の妖怪百面相は放っておいて、議題に意識を傾けることにする。
代表!!
ああ、なんて甘美な響きなのかしら。
皆が憧れ、崇め、奉る。
言わば、長という肩書き。
この私にこそ相応しいわ。
学年代表などと言わず、いきなり生徒会長任命でもよろしくってよ。
ちらりと視線を流すと、司会の男とバッチリ目があった。
そして、そのままニコリ。
私の可憐な笑みを正面で受け止めた男はビクリと身体を揺らした。