ラブ☆ファイト
思惑 恭也side
無駄に長い評議会が終わって教室に戻る頃には辺りはすっかり暗くなっていた。
いつもなら軽く舌打ちするところだろう。
だが、今日に限ってはかえって好都合だった。
なぜなら……。
『高宮さんの家ってどこ?
良かったら俺の車で送ろうか?』
横を歩くコイツを今から落とすから。
取るに足らない烏合の衆が居ようと居まいと俺は大して気にしないが、女というのは存外人の目を気にするものだ。
コイツが心臓に毛が生えたような女なのは承知しているが、色恋沙汰となるとどう反応してくるかわからない。
余計な不安因子は取り除いてしまうに越したことはない。
自然な流れで共に脱靴室まで来ていた。
「せっかくだけど、遠慮しておくわ」
俺の思惑を知ってか知らずか、高宮は俺の誘いをすげなく断る。
手には上履きを持ち、ロッカーの方を向いてこちらを見ることもしない。
暢気なものだ。
あ~あ、人がせっかく手加減して優しく接してやっていたというのに……。
余裕かましていられるのも今のうちだ。
断られたことによって完全にスイッチの入った俺は、教室に戻るまでに考えていた次の行動に移った。