見えないお姫さま
「そうだ。貴方、名前は?」
「はい、ヴァンと言います」
「ねぇヴァン。邪魔しないからここで見ててもいいかしら?」
「えっと…。いいですよ」
『えっと…』って。
そんな嫌そうな顔でいいなんて言わないでよ。
一度顔をそらしたら全然私の方を見ないし。
私は居るだけで邪魔ってことかしら?
いいわ。
一人で楽しく花と戯れていればいいじゃない。
「やっぱり帰る」
「え?」
「ごきげんようヴァン」
やっぱりこの人もお城の皆と同じなのね。
私の事なんてどうでもいいのよ。
『王様の娘』としてしか見てくれない…。