見えないお姫さま
お兄様の態度に少し頭に来た。
そんな私を気にする事もなく、
「それ俺のせいだ」
そのだらけた格好のままダルそうに言うお兄様。
一瞬、なんの事?と思ったけど、どうやら理由を話してくれるらしい。
どうやって聞き出そうかと悩んでいたのに、案外スッと聞き出せそう。
どういう風の吹き回しかしら。
「どういう事?」
私は取り敢えず話を聞く事にした。
『真実を知っても気をしっかりと持って下さいね』
さっきのラナの言葉を思い出すと真実を聞くのは怖いけれど。
でも私は知りたい。
ヴァンと私の間に何があるのか…。
「俺昔、城の使用人と駆け落ちしようとしたことがあるんだ」
「………えー!!」
顔だけが取り柄の、飽きっぽくてだらしがないお兄様がっ!?
駆け落ち!?
「まあ落ち着け。それは今となっては若気の至りと言うか何と言うか…」
「信じられない…」
私の知らない間にそんな事があったなんて。