見えないお姫さま
どうしてお兄様の駆け落ちが私に関係があるの?
「もう二度と同じ事が起こらない様にお父様の命令で、俺とお前に魔法がかけられた」
「魔法……?」
いつの間に。
「未婚の異性には姿が見えない魔法」
「何それ……」
お父様に怒りをおぼえた。
お兄様が二度と使用人と間違いを侵さない様に魔法をかけるのは分かる。
それがどうして私まで同じ魔法をかけるの?
私はそんな事しないわ。
好きになってはいけない相手くらい分かってる。
私を信用していない証拠じゃない。
「まあ、そんなに怒るなよ」
「誰のせいよ!」
信じられない。
それでそのだらけた態度は何!?
悪いなんて1mm足りとも思っていない様な態度。
やっぱりさっき普通のただの兄と言ったのは撤回。
「お兄様なんて嫌い!」
「え?」
とぼけた顔のお兄様に更にイラッとした。