見えないお姫さま
「ラナ…。私ヴァンに酷い態度をとってしまったかも……」
私はベッドに座り直した。
「謝って来たらいいんじゃないですか?」
ラナはふんわりした笑顔で言う。
それはそうなんだけど……。
「私が行っても驚かせてしまうだけじゃないかしら」
「いいえ、大丈夫です。その方も分かってくださいます」
「そう?」
「えぇ」
ラナにそう言われると何だかそんな気がしてくる。
不思議。
ヴァンはまだ中庭に居るかしら。
「じゃあ行ってくる」
「健闘を祈ります!」
ラナはしっかり者だけど、たまに発言が可笑しい。
健闘を祈るって……。
そんなラナに一度笑顔を向けて、部屋を出た。