見えないお姫さま



すっとんきょうな声を出すヴァン。


こっちは死ぬような思いをしたっていうのに。

何よ、その“どうかした?”みたいな顔。


「レ、レディの口を塞ぐとはどういうこと!?」

「あぁ!すみません、つい!」


“つい”!?!?

ついってどういうこと!?

「あ、貴方!」

「はい!」

ヴァンの背筋がピンッと伸びる。

「“つい”でレディの口を塞ぐの!?」

「はい!あっ、いえ!」

「どっちよ!」

「………」

急にヴァンの元気が無くなってしまった。

少しきつく言い過ぎたかしら……。


「ヴァ…」

「俺んち、6人兄弟なんです」


まぁ大家族。

っていきなり何?


「だから家計を助ける為に、長男の俺が出稼ぎに出てるんです」

「……そう」

わからないけど、ヴァンも色々大変らしい。

「で、ついいつも兄弟にしてるみたいにしちゃって…」


え?





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