見えないお姫さま



兄弟にしてるみたいに?

“私”にも?

『身分の壁』を私が勝手に感じていただけ?



「城内で同年代の知り合い居なかったんで、アイリ様が今日も来るって言ったの実は嬉しかったんです」

耳を赤くしてヴァンがはにかむ。

それを私は向こうから見えないことを良いことに、じっと覗き込んだ。


ヴァンは私と話せて嬉しいの?

それは姫だからじゃなくて、歳が近いから?


いや、城内には世代問わず大勢居ると思うけど…。


「庭師って孤独なの?」

「孤独?ははっ!そうですね。庭仕事は一人でやりますからね」


そっか。そうなんだ。

考えてみれば、彼はいつも一人で庭に居る。


「…淋しい?」

「まぁ、淋しくないって言ったら嘘になりますね」

「……今日は私が来るの待っていたの?」

「…ですね」

照れながら頭を掻く仕草が凄く可愛くて。

なんて男性に思うのは失礼かもしれないけれど、私はその姿に胸を掴まれた。



これってもしや『禁断の恋』!?





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