見えないお姫さま
罰則
次の日私は早速約束を破ってしまった。
「昨日はお兄様に呼び出されてなんだか訳のわからない愚痴を溢(コボ)されて、ここにくる時間が無くなってしまったの!」
私はヴァンに昨日来られなかった理由を早口で説明した。
「そうなんですか」
そんな私の声に視線を向けることなく、草むしりをしながら素っ気なくヴァンが言った。
私はちゃんと理由があって昨日来られなかった。
むしろ私は中庭に行く気満々でいたのに、半ば引きづられるように私の部屋に連れていかれ、姿が見えない魔法のことを知った私は唯一のお兄様の理解者であるらしく、今までお兄様がどれ程その魔法で苦しんだかという話を延々された。
そんな話をされたって私がその魔法を知ったのはつい2日前のことで、それまでは全く気が付かなかった。
だからお兄様の苦しみは私には一切わからない。
そんなわからない話はいつ終わるのかと、私はいつ中庭に行けるのだろうと、右から左へ聞き流していると案の定兄の話は夜までされた。