見えないお姫さま



私は止まらない笑いに苦しくなってお腹を抱えた。


「あははははっ」

「……そんなに笑うと」


ん?

落ち込んでいるヴァンは俯いたまま小さく呟いた。


「また口塞ぎますよ……」


その言葉に私はハッとして、急いで自分で自分の口を塞いだ。


「むぐっ!」

「……冗談ですよ」

「はぁ!?」


冗談!?

からかわれた!?


「アイリ様も大概面白いですね…」


大人しくしていると思ったら、突然何を言い出すの!?

私が面白い!?


「何言っているの!?」

「何って。あんまり笑うから仕返しです」

「………あっそ」

「あ。怒りました?」

「いいえ」



ヴァンって不思議な人。

敬語なんて気にしているくせに、やっていることは私を姫だと思っていない。

この人、私を何だと思っているのかしら。


すごく不思議。




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