見えないお姫さま
第2章
恋心
敬語を止めてわかったこと。
それは──
「アイリ」
「何?」
「どこにいるかわかんねぇから座ってろっつったろ」
──ヴァンの言葉遣いは汚い。
「いいじゃない。何してるのか気になるんだもの」
「前みたいにアイリに躓(ツマズ)いてすっ転ぶだろ」
「大丈夫よ?私が避けるから」
「……」
言葉遣いが変わろうとも私達の関係は変わらず、常に私が優勢で会話が成り立つ。
「あっ!そこ踏むな!」
「えっ!!」
「うっそー。見えてねぇっての」
………。
意地悪もされる。
そんな時は決まって私がヴァンを言い負かした時で、悔しいのか何なのかヴァンは意地悪になる。
でもそこで私達は対等に接していることを表す。
“姫と庭師”ではなく、“友達”なんだ。